採用する事・・・辞めてもらう事
新聞を読んでいて、『肥後の守で鉛筆は削れるが、正宗では削れない』とあった。
優秀な人材を採用して、それを指導するに当たり、必ずしも優秀な者が指導する事が正しいとは言えない、、、と言うような注釈がされていた。それはそうかもしれないが、、。
しかし、掲載されていた方は、滅茶苦茶優秀な方で、その人が言う”優秀な人”は、もぉ、、とんでもなく優秀な人の事で、、、うーーん、言わんとする事は、分からなくもないが、、、ちょっと比喩の仕方が違うだろ・・と思わざるを得ない。
さて、今月25日を迎えると、我社も創立22年となる。沢山の人を採用したが、その半数以上の人が辞めて行った。
『薄給で生活が出来ない』『こんな仕事、やってられない!』と言って辞めた者が多かったが、確かに給料は安いし、残業だらけだし、図面を描いていれば済むのかと思ったら、その調整が本業だと言われるし、、、文句の一つも言って辞めたくなるだろう。
おそらく、この不況下であっても、同じ事を言われるだろう。施工図は、本当に大変な仕事なのだ。オペレータでは務まらない。とにかく、”一人前”と言われるような施工図屋になるのに、時間が掛かり過ぎるのだ、、。
『いやぁ、、、君の期待に応えられなくて、、すまんなぁ、、』と言うしかなかった。本人の考える”仕事”とは、掛け離れているのだから、、。
しかし、、、逆もある。
明らかに不向きな者が、この大変な仕事に、しがみ付こうとしている時だ。
何人かの者に、、『無理だと思う、、辞めた方が良い、、』と言って、辞めてもらった事がある。
だが、この点については、採用した者としての責任も少しある。
言い訳にしかならないかもしれないが、、、
採用条件として、建築の専門学校以上の卒業とし、、会社訪問として、2時間以上、私の一方的な話を聞いてもらい、、、その上で、『応募したいのですが・・』と、再度会社に来てもらい、作品などを見せてもらって、その説明を受けたりして、、後日、採用不採用の連絡をするようにしている。
応募する側も、採用する側も、”互いの人格がバレバレになるような面接”を心がけているつもりなのだが、、、。
しかし、応募する側の情報収集不足と、残念ながら能力不足、それから採用する側の、人を見る目の無さが、変にマッチしてしまい、”不幸な採用”となる場合もある、と言う事なのだ。
中途採用の人に多いのが、施工図は”調整”をする事が本来の仕事であり、、、基本、現場に常駐が筋で、持ち帰り支援は、調整作業が非常に難しい、、と言う事を理解していない、、、あるいは、理解しようとしない人がいる。
一人の仕事として、殻に籠ってしまうのだ。
若手から、中堅に向かって行く辺りまでは、何とかやれるのだが、30歳を過ぎた辺りから、徐々に”調整作業”のウェイトが増えて行く。
それが嫌で転職・・・転社、、だな、、をして行くのだが、期待される”そこ”の年齢に達しているのだ。どこに行っても、同じ事を要求されるわけだ、、。
それが40歳を過ぎると、、もう、、いただけない、、。
建築そのものの知識や経験は申し分無いのだが、”受けて立つ姿勢”の無い場合が、半数を超す。自ら、仕事の場を縮小させて行くタイプだ。逃げる事に専念してしまう。
まぁ、、理不尽な設計変更のしわ寄せと、間に合わないVE提案や減額案等が続くと、そういう姿勢が身に着いてしまっても、ある意味仕方ない事かもしれない、、事前に察知する能力は十二分に持ち合わせている訳だ、、。
しかし、そういう人にも辞めてもらった。
社員が、増えるはずが無い、、。育てる力が、大きく不足している。
あと数年、、数年すると、新卒で採用したメンバーも続々30代に突入する。
もう少しで、バランスの取れた会社、、、みたいに見えてくる。そういう年齢構成になるのだ。
今まで我慢したのだ、、。もう少し!
それにしても、、あの宝船が、何とかならんかなぁ、、。
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